🎥『メゾン・ド・ヒミコ』🎬

2005年公開

監督 犬童一心

脚本 渡辺あや

出演 オダギリジョー 柴咲コウ 西島秀俊

   田中みん(サンズイに民) 歌澤寅右衛門

   青山吉良 村上大樹 井上博一

   森山潤久 柳澤慎一 洋ちゃん

   高橋昌也 中村靖日 等(敬称略) 

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 幼い頃、父が有名なゲイバー『卑弥呼』の2代目を継ぐことになり家を出た。

父親はゲイで、母と自分を捨て、苦労して生きてきたサオリ。母が病になり治療費のために借金までしたが他界。孤独で卑屈、借金返済のために水商売の求人ばかり見ている塗装屋の事務員だ。

ある日、父の恋人だという春彦が訪ねてくる。父が癌であることを知らせた上で、ゲイのための老人ホームで雑用に週一回来てくれないかと。三万円出すと。遺産も分けると。その場所が『メゾン・ド・ヒミコ』ヒミコ(サオリの父)が5年前に買い取った元ホテルだ。

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 父に再会しても憎しみは消えずゲイに対する嫌悪感がいっぱいのサオリ。柴咲コウはこういう目が巧い。

徐々に他のゲイたちとの交流を通して少しずつ理解もできるようになる。普段は男性服を着ている山崎と仲良くなる。彼は着てみたい女性服に囲まれて暮らしていた。部屋でサオリとファッションショーをしたりして楽しそう。そんな様子を見て、全員でディスコに行き楽しい時間を過ごす。そこで山崎の元部下に会ってしまい無礼を受けたため、サオリは「ゲイで何が悪い!謝れ!」と食って掛かるのだった。

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春彦はそんなサオリを好きになった。二人は付き合うことになったがキスまでだった。気持ちは好きなのに、ゲイの春彦はそこからは進まない。そして別れ、サオリは妻子持ちなのに女子社員と不倫しまくりの細川と関係を持つようになる。満たされない欲望をノーマルな男で満たしているのか......。

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ルビーが脳卒中で倒れ、ゲイということは隠されたまま息子に引き取られていく。ゲイと知られた時に家族がどうするのかは賭けだという皆に納得いかないサオリ。そりゃそうだ。父がいなくて苦労した子が父の介護をするなんて。しかもゲイであるという理由でだ。自分の境遇と重ね合わせたのだろう。

ヒミコも弱っていく。メゾン維持のためにパトロンの半田社長から資金援助をしてもらっていたが脱税で捕まり、ヒミコの遺産も底を尽いていた。昔のお得意様の手帳を春彦に託すヒミコは皆のために寄付を募ってほしいと懇願する。サオリは母が苦しい生活の中で隠れてヒミコに会っていたことを知る。ヒミコは「あなたのこと、好きよ」とサオリに伝えるが、素直に受け取れないサオリ。そしてヒミコの葬儀を最後にメゾンから足が遠退く。

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時が経ったある日、会社に連絡が入る。メゾンに落書きがあるから塗装してほしいと。そこには『サオリに会いたいピッキピッキピッキー』と書いてあった。サオリは春彦たちに迎え入れられ、笑顔でメゾンに入っていく。「ピッキピッキピッキー」はルビーの口癖。家族にゲイであることを受け入れてもらえたということなのかな?

セクシャルマイノリティーの問題を10年以上前に題材にし、家族の問題や老後の問題もからめた作品なのに重苦しくない。明るくて夢がある一方、切なくて不安もある。でも優しくて温かい。そんなこの映画が好きだ。

また、オダギリジョーの美しさと繊細な芝居に惹き付けられた。役者として好きだ。
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